第0章 ティーザー

盤の上で、また一つ、駒が折れた。

膝を砕かれ、それでも歯を食いしばって立とうとする姿は――ええ、滑稽よ。けれど嫌いではないわ。だって、あの子たちの骨が軋む音は、私の骨が軋む音と同じなのだから。流れる血も、零れる涙も、すべて私の体液よ。私が絞り出し、私が盤面に撒き散らした、正真正銘の私自身。

だから勘違いしないでちょうだいね。

本作は、読者に高潔な精神を授けようとするものでも、あるいは読者を冷酷な悪党に堕落させようとするものでもありません。

そんな大層な志、持ち合わせていなくてよ。教訓? 成長? 救済?――馬鹿馬鹿しい。この物語に処方箋はないし、道標もない。あるのは、私がこの手で練り上げ、この指で引き裂いた血痕だけ。それを見なさい。目を逸らすのも、凝視するのも、あなたの自由。けれど「なぜ見せるのか」なんて問いには答えてあげない。創った者のエゴに理由を求めるほど、野暮なことはないでしょう?

ああ、最後にひとつだけ。

その中身は、すべて100%作り話……と思いたいなら、そう思ってくださいね。

――さあ、幕よ。上がりなさい。